チベット語:ウパメ
梵語:アミターバ
全ての衆生を救いたいという深い慈悲の心により、他のどの仏国土より辿り着きやすく作り上げられたという浄土スカヴァティ(西方極楽浄土)で法を説くと言われる、五智如来の一つ、また蓮華部の主尊阿弥陀如来。
日本においても法然上人による浄土宗や”親鸞聖人”による浄土真宗、一遍上人の時宗などで広く信仰される尊格です。
また仏画などに描かれる際、日本では多くの場合金色の体色で描かれますが、チベットでは赤い体色で描かれます。日本の密教にも、赤い水晶を意味する”紅玻瑠(ぐはり)”という言葉が名前に使われる、”紅玻瑠色阿弥陀如来”として赤い体色の阿弥陀如来が伝わっていますが、この場合は宝冠を戴いている姿で描かれます。
チベットでは、阿弥陀如来の報身とされる長寿の尊格”ツェパメ(無量寿菩薩)”が宝冠などの装身具を付けた赤い身体で描かれます。
制作年:2005年
寸法:27.5×40cm
<基底材>
綿布、チョーク、膠液
<彩色画材>
ガッシュ、純金泥
黒く塗った背景に純金泥の輝きが映える、阿弥陀如来を描いたタンカです。
尊格は、体色が赤でない以外はチベットのタンカの描き方を踏襲していますが、その他の頭光や光背などの部分はチベットの伝統的なタンカとは大きく異なります。
頭光は全体を純金泥で塗り、それを瑪瑙で磨くことにより光線や文様を描き出しています。
阿弥陀如来の下中央部分には、金色の飾りで囲まれ宝珠のような形で描かれた”コルロ”(法輪)、その両脇には阿弥陀如来の乗り物で、「浄土の六鳥」の一つ”孔雀”が描かれています。